神々の時代
2005年 03月 02日
はるか遠い昔、この世にはたった ひとつの球体が存在した。
1 億年以上もの長い歳月を経て、
その球体は成長し、
やがてはふたつの大きな力が生まれるに至りました。
ふたつの力は、やがて意識を持つようになり、
白い力は光に、黒い力は闇に分裂。
白い光は女性となり、アインハザードと名乗りました。
黒い光は男性となり、グランカインと名乗りました。
このふたりの誕生が、すべての始まりでした。
アインハザードとグランカインは、
力を合わせて球体の外へと飛び出します。
この時に砕けた球体の破片は、それぞれ世界を形成します。
上に飛び散った破片は空となり、下に飛び散った破片は地を形成。
空と地の間には水ができ、地の一部は盛り上がって大地をつくりました。
球体に宿っていた精神(ってなんだかわからないけど)も、
球体とともに砕け散り、さまざまな動植物を生むこととなりました。
この精神から生まれた生き物の中で最も優れたものが、巨人です。
クルマの塔などで、その遺跡を見ることが出来る巨人というのは、
ここで誕生しています。
そこでアインハザードとグランカインは、
巨人をすべての生き物の長と決めました。
ふたりの権勢をバックに、
巨人は大陸を支配して繁栄することになるのです。
アインハザードとグランカインは、 多くの子をもうけました。
なかでも、最初に生まれた 5 人の子供たちには、
地上を支配する力を授けられた特別な子供だったようです。
1番上の娘、シーレンは水を、
1番上の息子ファアグリオ(パアグリオ)は火を、
2 番目の娘マーブルは大地を、
2 番目の息子サイハは風を支配することとなりました。
次に生まれたエヴァは、支配するものが無くなっていたため、
詩と音楽をつくっていたそうです。
アインハザードは創造の神であったため、
自分の精神から体を作り出し、
子供たちの力を借りてその体に命を吹き込みます。
シーレンは水の精神を吹き込みました。
これがエルフ族の起源。
ファアグリオは火の精神を吹き込みました。
これがオーク族の起源。
マーブルは土の精神を吹き込みました。
これがドワーフ族の起源。
サイハは風の精神を吹き込みました。
これがアルテイア族の起源。
ちなみにアルティア族というのは、
リネージュ2のプレイヤーキャラとしては存在しません。
それに対して、グランカインは破壊の神でした。
グランカインはアインハザードが子供と共に生命を作り出すのを見て、
「なんだよ!俺だってそれぐらいできるよ!」
と男っぽい嫉妬をしてしまいます。
そして、アインハザードにそっくりな体を作りあげ、
長女のシーレンに、精神を吹き込むよう頼みます。
シーレンは驚いて、父親をこう諌めました。
「お父様、どうしてそのようなことをなさろうとするのですか。創造はお母様のなさることです。ご自分の役割以外のことをむやみになさらないほうがよろしいのではないでしょうか。破壊の神から命を授かる生き物は、災いの種になります。」
しかしグランカインは引き下がらず、
何度も説得しうまく丸め込んで、
最後にはシーレンの同意を得ることに成功します。
「わかりました。でも、水の精神はお母様にさしあげてしまったので、お父様には残りのものしかお渡しすることができません。」
そしてシーレンは、
「よどんで腐った水の精神」をグランカインに差し出し、
グランカインは喜んでこれを受け取りました。
しかし、グランカインはこれだけでは満足せず、
次に長男のファアグリオのもとを訪れました。
「父上のされていることは正しくありません。どうか考え直してください。」
ファアグリオも諫言したものの、グランカインに逆らうことはできず、
「消えかけの火の精神」を差し出しました。
マーブルも涙ながらに父に訴えたものの、
結局は「不毛の汚れた土の精神」を与えてしまいました。
そしてサイハもまた、
「激しく荒い風の精神」を父に差し出すことになります。
すべての準備を整えたグランカインは大満足。
「この私の創造物を見よ。水の精神、火の精神、土の精神、風の精神を授かり誕生する姿を見るがよい。巨人などよりも力強く、そして賢い者となるだろう。この者たちが世界を支配するのだ。」
グランカインは全世界に向かって誇り高く叫ぶと、
自らと同じ姿をした創造物に精神を吹き込みました。
ところが、生まれてきた生物、これがまったくの役立たず。
ひ弱で、愚かで、ずるがしこい、臆病な生き物が誕生してしまいました。
そしてグランカインは、恥ずかしさのあまり、
自分の創造物を捨て逃げ出してしまったのです。
そんな彼の創造物こそが、人間です。
エルフは賢く、魔法の使い方を知っていました。
しかし、彼らも巨人ほどの知恵は持っておらず、
巨人たちの指示で政治と魔法を担当することとなります。
オークには力がありました。
疲れを知らない体力と強靭な精神力を持っていたのです。
しかし、巨人たちにはかなわず、戦争と治安を担当することとなります。
ドワーフには優れた技巧がありました。
計算が得意で、細かな細工に長けていたのです。
そこで巨人たちは、ドワーフを銀行業と製造業に従事させました。
自由を愛する種族アルテイアは、
尽きない好奇心とどこへでも飛べる翼を持ち、
縛られることを嫌いました。
巨人たちはこの奔放な種族を捕らえて服従させようとしたものの、
アルテイアは鳥かごに入れられるとすぐに弱って死ぬため、
結局は再び開放することにしました。
その後、アルテイアは自由に世界中を飛び回り、
時折、巨人の都市を訪れては、
各地のできごとを巨人たちに知らせるようになります。
その一方で、人間は何をやってもうまくできません。
巨人たちは人間の使い道に頭を悩ませ、
結局巨人の奴隷として、あらゆる卑しい仕事をさせることにしました。
つまりは、ほぼ奴隷です。
人間の生みの親であるグランカインは自由奔放な神で、
人間を想像するという軽々しいことをしてからも、
実の娘であるシーレンを口説きます。
そしてついには、シーレンに自分の子供を身ごもらせてしまいます。
このことを知ったアインハザードは、当然ながら激怒。
しかも、その怒りの矛先は夫グランカインではなく、
シーレンへと向いてしまいました。
「若いからってアノ人をたらしこむなんて!!」
アインハザードはシーレンから水の女神としての地位を剥奪し、
大陸から追放してしまいました。
シーレンは、身重の体で東方へと逃げます。
それから間もなく、彼女は暗い森の奥深くで産気づくことに……。
激しい痛みに耐えながら、
シーレンはアインハザードとグランカインを呪い続けました。
苦しみの果てに産み落とされた子供たちは、
シーレンの呪い、絶望、怒りを受け継ぎ、
成長とともに神に抗う鬼神となります。
鬼神の中で最も強いものは「ドラゴン」と呼ばれました。
ドラゴンは全部で 6 匹ですが、この数は、
アインハザードたち 6 人の神々に対する、
呪いとともに生まれてきたからのようです。
C2の時点でゲームに登場しているドラゴンは、
そのうちの一体、アンタラスのみ。
やがて、ドラゴンたちを先頭に、シーレンは神々に矛を向けます。
これを聞いた光のドラゴンであるアウラキリアは、
悲しげな眼差しでシーレンにいいます。
「お母様。ご自分がなさろうとしていることをわかっていらっしゃるのですか。本当に神々を滅ぼしたいとお望みですか。本当にご自分のお父様やお母様、ご兄弟が血の海に沈むことをお望みですか。」
しかし、アウラキリアの訴えも、
シーレンの決意を変えることはできず、
ついに鬼神たちは神々が住む宮殿に攻め込み、
し烈な戦いが開始されることに。
6 匹のドラゴンの攻撃は特に激しく、
神の宮殿をことごとく破壊していきました。
ドラゴンの恐るべき力には、神々でさえも圧倒されたようです。
戦力はほぼ互角で、戦いはこう着状態に陥ります。
その戦いの中で、多くの神の使者や鬼神が命を落としました。
毎日のように雷鳴が轟き、稲妻が空を切り裂き、
巨人やその他地上の生き物は震えおののいて、
怯えながらそのようすを見守っていました。
こうしたし烈な戦いが何年も続いた後、
ついに大御所のアインハザードとグランカインが出張り、
多くの痛手を負いながらも、
力で多くの鬼神を滅ぼし、形成は神々に傾きました。
やがてシーレンの軍隊が壊滅状態になり、戦争は終結。
ドラゴンたちはその翼を広げて地上へと逃げ出し、
生き残った鬼神たちも次々とそれに続いていきました。
子供たちが倒れ、戦いに敗れると、
シーレンはその悲しみに耐えることができなくなり、
「死」を生み出して、その世界を支配します。
少しは罪の意識でもあったのか、グランカインもシーレンのため、
そして死に直面しなければならないすべての生き物のために、
死の世界へと入っていきました。
シーレンが去った後、
末娘のエヴァが水を支配する力を受け継いでいました。
しかし、もともと臆病な性格のエヴァは、
姉の壮絶な死と神々の戦いを見て怖くなってしまい、
湖の底にトンネルを掘り、その中に隠れて過ごすことに。
支配するものがいなくなってしまったため、
大陸を囲む水の精霊はどうすればよいかわからなくなり、
あてもなくさまよい始めます。
ある場所では、大量の水が流れ込み沼地に。
また別の場所では水がまったく流れなくなり砂漠ができました。
さらに、あちこちで大陸の一部が突然海の底に沈んだり、
何もないところから新しい島が出現しました。
夜となく昼となく雨が降り続き、
高い山の頂を残してすべてが水没してしまうところさえもありました。
陸上でも、海中でも、あらゆる生き物がこの天変地異に苦しみます。
すべての生き物を代表する巨人が、
神々のもとに赴き嘆願した。
「このままでは地上の生き物は全滅です。」
神々も、この情況には驚き呆れていたようで、
アインハザードとグランカインが大陸中を探し回り、
ようやくエヴァが隠れている湖を見つけ出しました。
「エヴァ、お前が自分の責任を放棄したためにどういうことになっているのか、よく見なさい。お前は私たちが作り上げたこの大陸の調和を壊しているのですよ。いつまでも逆らい続けるのなら、容赦はしません。」
アインハザードの怒りは激しく、その目には炎が燃えあがっていました。
このエヴァが招いた洪水によって、
数え切れないほどの巨人やその他の生き物が、
死ぬことでシーレンの世界へと旅立って行きました。
つまり、アインハザードはシーレンの世界が賑やかになるのが、
我慢ならなかった部分もあるのです。
恐るべき、母の嫉妬。
エヴァはふるえあがり、母であるアインハザードに従います。
エヴァが再び水を治め始めると、
洪水は収まりましたが、一度荒廃してしまった大陸は、
元に戻すことができなくなっていました。
ゲーム中で見られる荒廃した台地のいくつかは、
エヴァのために出来てしまった場所なのです。
神々の度重なる神々の失敗を見て、
巨人たちの心の中に疑問が生まれました。
「あのような神々を崇拝する価値があるのか。」
巨人たちが次第に力を持つようになると、
この考えはどんどん大きくなります。
巨人たちは自ら作った馬車に乗り、
神々の宮殿に自由に出入りできるようになりました。
また魔法を使って島を持ち上げたり、
神々のように空中で生活できるようになりました。
巨人の遺跡ともいえるクルマの塔や巨人の洞窟で、
浮いている構造物があるのは、
この時にできた技術です。
そんな経緯で、
巨人たちは自分の力が神に匹敵すると考え始めてしまいました。
そして、生き物を組み合わせて、独自の生命体を作り始ます。
プレモやサセプタなどが、その名残のようです。
ちなみに巨人たちは、
このような奇跡を可能にする魔法を「科学」と呼びました。
自分たちの絶大な力に酔いしれた巨人たちは傲慢になり、
とうとう神々を退けてその地位を奪うために、
軍隊を組織し始めたのです。
これを見たアインハザードは激しく怒ります。
生命を作り出せるのは自分だけが持つ権利だったため、
その怒りはとんでもないものだったようです。
巨人を大陸や世界もろとも絶滅させることを宣言。
さすがにそれはやりすぎだろうと、
グランカインがアインハザードをなだめましたが、
グランカインでさえ彼女を取り巻く怒りの炎のために近づけず……。
「お前は創造の母であり、破壊は私の役目だ。私がお前の領域に踏み込んだときにどんな目に逢ったか、お前もよく知っているだろう。私が巨人たちの傲慢な行ないに罰を与えるから、お前は落ち着くのだ。それでも世界を滅ぼそうとするのなら、私はあらゆる手を使ってお前を止めなければならない。」
なかなか耳を貸さなかったアインハザードですが、
最後には折れて説得に応じることになります。
アインハザードは巨人たちを罰するために、
グランカインの武器である星の槌を借りることにしました。
アインハザードはその槌を使い、
巨人たちの都市に向かって火の玉を雨あられと降らせます。
この惨状を見て、巨人たちははじめて、
自分たちがとんでもない過ちを犯したことに気がつきました。
巨人の強大な力をもってしても、
槌の方向をほんの少しずらすのが精一杯。
槌は巨人たちの都市をかすめて地に落ちましたが、
それでも繁栄した都市を破壊するには十分すぎます。
大陸には大きな穴があき、ほとんどの巨人は死を迎えました。
それらしき地形を、アデン南東で見ることができますね。
なんとか生き残った巨人たちは、
アインハザードの怒りを避けるために東方へと逃避行。
アインハザードは巨人たちを追い続け、
稲妻で次々に焼き殺していきます。
恐れに震えながら、巨人たちはグランカインに嘆願した。
「グランカインよ。私たちは自分たちの過ちに気付きました。アインハザードを止められるのはあなただけです。アインハザードは怒りで我を忘れています。私たちはあなたがたと同じ場所で生まれました。そして大陸で最も賢く、強い生き物だったのです。どうか私たちを滅ぼさないでください。」
グランカインはムチャクチャをするものの、
情に弱いところもあるようで、
巨人たちは既にその罪を十分に償ったと考え、
南洋の最も深いところから水を持ち上げて、
巨人たちに追い付こうとするアインハザードをさえぎりました。
邪魔をされたアインハザード、また激しく怒ります。
「何をするのだ。どうして私の邪魔をする。愛しい娘、エヴァよ。行く手をはばむ水を今すぐ退かせなさい。さもなければ、お前も姉と同じ運命をたどることになるぞ。」
エヴァはアインハザードを恐れ、すぐに水を海へと戻してしまいます。
アインハザードは再び巨人たちを追いかけ、
ひとり、またひとりと殺していきます。
巨人たちは再びグランカインに泣きつきました。
「グランカインよ。偉大なる我らが神よ。アインハザードはまだ私たちを追ってきます。私たちを ひとり残らず消し去るつもりです。どうか私たちを助けてください。」
グランカインは巨人たちが立っている大地を持ち上げました。
巨人たちを血眼になって追いかけていたアインハザードは、
突然、巨大な岩の壁に行く手をさえぎられることに。
アインハザード、さらに激しく怒ります。
「私の娘たちは皆、敵なのか。愛しい娘、マーブルよ。一体誰が私の行く手をはばんでいるのだ。今すぐこの大地をもとに戻すのだ。さもなければ、お前も姉と同じ運命をたどることになるぞ。」
この言葉に怯え、マーブルは大地をもとに戻そうとした。
しかし、グランカインは即座にマーブルを制止し、告げます。
「アインハザードよ。もうそろそろやめたらどうだ。地上のあらゆるものがお前の怒りを恐れ、恐怖に震えている。賢明だが愚かなことをしでかした巨人たちも、自分たちの過ちを悔い改め、心の底から改心している。巨人たちを見よ。すべての生き物の上に立つものとして自信に満ちあふれていた彼らが、今ではあんな小さな高台に隠れて恐れおののき、お前と目も合わせられずにいるではないか。もう二度と大陸には降りて来られないだろう。また二度と私たち神にたてつくこともないだろう。あの高台は巨人たちの永遠の牢獄となり、彼らは永遠にそこに閉じ込められることになるのだ。だから、どうかもうその怒りを鎮めてくれないか。お前の復讐はもう終わったのだ。」
アインハザードは怒りを鎮めたわけではなかったが、
さすがにグランカインの話に耳を傾けました。
また、グランカインがいうように、
巨人たちに永遠にその行為を悔やませるには、
彼らを皆殺しにするよりも、
小さな、不毛の高台に捕えておくほうがよいと考えました。
そうしてついに、アインハザードは巨人を追うのをやめました。
しかし、地上の生き物に失望したアインハザードは、
その後、めったに地上でのできごとに関与しなくなります。
そしてグランカインもまた、
むやみに地上に姿を現さないことに決めました。
神々の時代は、こうして終焉を迎えます。
1 億年以上もの長い歳月を経て、
その球体は成長し、
やがてはふたつの大きな力が生まれるに至りました。
ふたつの力は、やがて意識を持つようになり、
白い力は光に、黒い力は闇に分裂。
白い光は女性となり、アインハザードと名乗りました。
黒い光は男性となり、グランカインと名乗りました。
このふたりの誕生が、すべての始まりでした。
アインハザードとグランカインは、
力を合わせて球体の外へと飛び出します。
この時に砕けた球体の破片は、それぞれ世界を形成します。
上に飛び散った破片は空となり、下に飛び散った破片は地を形成。
空と地の間には水ができ、地の一部は盛り上がって大地をつくりました。
球体に宿っていた精神(ってなんだかわからないけど)も、
球体とともに砕け散り、さまざまな動植物を生むこととなりました。
この精神から生まれた生き物の中で最も優れたものが、巨人です。
クルマの塔などで、その遺跡を見ることが出来る巨人というのは、
ここで誕生しています。
そこでアインハザードとグランカインは、
巨人をすべての生き物の長と決めました。
ふたりの権勢をバックに、
巨人は大陸を支配して繁栄することになるのです。
アインハザードとグランカインは、 多くの子をもうけました。
なかでも、最初に生まれた 5 人の子供たちには、
地上を支配する力を授けられた特別な子供だったようです。
1番上の娘、シーレンは水を、
1番上の息子ファアグリオ(パアグリオ)は火を、
2 番目の娘マーブルは大地を、
2 番目の息子サイハは風を支配することとなりました。
次に生まれたエヴァは、支配するものが無くなっていたため、
詩と音楽をつくっていたそうです。
アインハザードは創造の神であったため、
自分の精神から体を作り出し、
子供たちの力を借りてその体に命を吹き込みます。
シーレンは水の精神を吹き込みました。
これがエルフ族の起源。
ファアグリオは火の精神を吹き込みました。
これがオーク族の起源。
マーブルは土の精神を吹き込みました。
これがドワーフ族の起源。
サイハは風の精神を吹き込みました。
これがアルテイア族の起源。
ちなみにアルティア族というのは、
リネージュ2のプレイヤーキャラとしては存在しません。
それに対して、グランカインは破壊の神でした。
グランカインはアインハザードが子供と共に生命を作り出すのを見て、
「なんだよ!俺だってそれぐらいできるよ!」
と男っぽい嫉妬をしてしまいます。
そして、アインハザードにそっくりな体を作りあげ、
長女のシーレンに、精神を吹き込むよう頼みます。
シーレンは驚いて、父親をこう諌めました。
「お父様、どうしてそのようなことをなさろうとするのですか。創造はお母様のなさることです。ご自分の役割以外のことをむやみになさらないほうがよろしいのではないでしょうか。破壊の神から命を授かる生き物は、災いの種になります。」
しかしグランカインは引き下がらず、
何度も説得しうまく丸め込んで、
最後にはシーレンの同意を得ることに成功します。
「わかりました。でも、水の精神はお母様にさしあげてしまったので、お父様には残りのものしかお渡しすることができません。」
そしてシーレンは、
「よどんで腐った水の精神」をグランカインに差し出し、
グランカインは喜んでこれを受け取りました。
しかし、グランカインはこれだけでは満足せず、
次に長男のファアグリオのもとを訪れました。
「父上のされていることは正しくありません。どうか考え直してください。」
ファアグリオも諫言したものの、グランカインに逆らうことはできず、
「消えかけの火の精神」を差し出しました。
マーブルも涙ながらに父に訴えたものの、
結局は「不毛の汚れた土の精神」を与えてしまいました。
そしてサイハもまた、
「激しく荒い風の精神」を父に差し出すことになります。
すべての準備を整えたグランカインは大満足。
「この私の創造物を見よ。水の精神、火の精神、土の精神、風の精神を授かり誕生する姿を見るがよい。巨人などよりも力強く、そして賢い者となるだろう。この者たちが世界を支配するのだ。」
グランカインは全世界に向かって誇り高く叫ぶと、
自らと同じ姿をした創造物に精神を吹き込みました。
ところが、生まれてきた生物、これがまったくの役立たず。
ひ弱で、愚かで、ずるがしこい、臆病な生き物が誕生してしまいました。
そしてグランカインは、恥ずかしさのあまり、
自分の創造物を捨て逃げ出してしまったのです。
そんな彼の創造物こそが、人間です。
エルフは賢く、魔法の使い方を知っていました。
しかし、彼らも巨人ほどの知恵は持っておらず、
巨人たちの指示で政治と魔法を担当することとなります。
オークには力がありました。
疲れを知らない体力と強靭な精神力を持っていたのです。
しかし、巨人たちにはかなわず、戦争と治安を担当することとなります。
ドワーフには優れた技巧がありました。
計算が得意で、細かな細工に長けていたのです。
そこで巨人たちは、ドワーフを銀行業と製造業に従事させました。
自由を愛する種族アルテイアは、
尽きない好奇心とどこへでも飛べる翼を持ち、
縛られることを嫌いました。
巨人たちはこの奔放な種族を捕らえて服従させようとしたものの、
アルテイアは鳥かごに入れられるとすぐに弱って死ぬため、
結局は再び開放することにしました。
その後、アルテイアは自由に世界中を飛び回り、
時折、巨人の都市を訪れては、
各地のできごとを巨人たちに知らせるようになります。
その一方で、人間は何をやってもうまくできません。
巨人たちは人間の使い道に頭を悩ませ、
結局巨人の奴隷として、あらゆる卑しい仕事をさせることにしました。
つまりは、ほぼ奴隷です。
人間の生みの親であるグランカインは自由奔放な神で、
人間を想像するという軽々しいことをしてからも、
実の娘であるシーレンを口説きます。
そしてついには、シーレンに自分の子供を身ごもらせてしまいます。
このことを知ったアインハザードは、当然ながら激怒。
しかも、その怒りの矛先は夫グランカインではなく、
シーレンへと向いてしまいました。
「若いからってアノ人をたらしこむなんて!!」
アインハザードはシーレンから水の女神としての地位を剥奪し、
大陸から追放してしまいました。
シーレンは、身重の体で東方へと逃げます。
それから間もなく、彼女は暗い森の奥深くで産気づくことに……。
激しい痛みに耐えながら、
シーレンはアインハザードとグランカインを呪い続けました。
苦しみの果てに産み落とされた子供たちは、
シーレンの呪い、絶望、怒りを受け継ぎ、
成長とともに神に抗う鬼神となります。
鬼神の中で最も強いものは「ドラゴン」と呼ばれました。
ドラゴンは全部で 6 匹ですが、この数は、
アインハザードたち 6 人の神々に対する、
呪いとともに生まれてきたからのようです。
C2の時点でゲームに登場しているドラゴンは、
そのうちの一体、アンタラスのみ。
やがて、ドラゴンたちを先頭に、シーレンは神々に矛を向けます。
これを聞いた光のドラゴンであるアウラキリアは、
悲しげな眼差しでシーレンにいいます。
「お母様。ご自分がなさろうとしていることをわかっていらっしゃるのですか。本当に神々を滅ぼしたいとお望みですか。本当にご自分のお父様やお母様、ご兄弟が血の海に沈むことをお望みですか。」
しかし、アウラキリアの訴えも、
シーレンの決意を変えることはできず、
ついに鬼神たちは神々が住む宮殿に攻め込み、
し烈な戦いが開始されることに。
6 匹のドラゴンの攻撃は特に激しく、
神の宮殿をことごとく破壊していきました。
ドラゴンの恐るべき力には、神々でさえも圧倒されたようです。
戦力はほぼ互角で、戦いはこう着状態に陥ります。
その戦いの中で、多くの神の使者や鬼神が命を落としました。
毎日のように雷鳴が轟き、稲妻が空を切り裂き、
巨人やその他地上の生き物は震えおののいて、
怯えながらそのようすを見守っていました。
こうしたし烈な戦いが何年も続いた後、
ついに大御所のアインハザードとグランカインが出張り、
多くの痛手を負いながらも、
力で多くの鬼神を滅ぼし、形成は神々に傾きました。
やがてシーレンの軍隊が壊滅状態になり、戦争は終結。
ドラゴンたちはその翼を広げて地上へと逃げ出し、
生き残った鬼神たちも次々とそれに続いていきました。
子供たちが倒れ、戦いに敗れると、
シーレンはその悲しみに耐えることができなくなり、
「死」を生み出して、その世界を支配します。
少しは罪の意識でもあったのか、グランカインもシーレンのため、
そして死に直面しなければならないすべての生き物のために、
死の世界へと入っていきました。
シーレンが去った後、
末娘のエヴァが水を支配する力を受け継いでいました。
しかし、もともと臆病な性格のエヴァは、
姉の壮絶な死と神々の戦いを見て怖くなってしまい、
湖の底にトンネルを掘り、その中に隠れて過ごすことに。
支配するものがいなくなってしまったため、
大陸を囲む水の精霊はどうすればよいかわからなくなり、
あてもなくさまよい始めます。
ある場所では、大量の水が流れ込み沼地に。
また別の場所では水がまったく流れなくなり砂漠ができました。
さらに、あちこちで大陸の一部が突然海の底に沈んだり、
何もないところから新しい島が出現しました。
夜となく昼となく雨が降り続き、
高い山の頂を残してすべてが水没してしまうところさえもありました。
陸上でも、海中でも、あらゆる生き物がこの天変地異に苦しみます。
すべての生き物を代表する巨人が、
神々のもとに赴き嘆願した。
「このままでは地上の生き物は全滅です。」
神々も、この情況には驚き呆れていたようで、
アインハザードとグランカインが大陸中を探し回り、
ようやくエヴァが隠れている湖を見つけ出しました。
「エヴァ、お前が自分の責任を放棄したためにどういうことになっているのか、よく見なさい。お前は私たちが作り上げたこの大陸の調和を壊しているのですよ。いつまでも逆らい続けるのなら、容赦はしません。」
アインハザードの怒りは激しく、その目には炎が燃えあがっていました。
このエヴァが招いた洪水によって、
数え切れないほどの巨人やその他の生き物が、
死ぬことでシーレンの世界へと旅立って行きました。
つまり、アインハザードはシーレンの世界が賑やかになるのが、
我慢ならなかった部分もあるのです。
恐るべき、母の嫉妬。
エヴァはふるえあがり、母であるアインハザードに従います。
エヴァが再び水を治め始めると、
洪水は収まりましたが、一度荒廃してしまった大陸は、
元に戻すことができなくなっていました。
ゲーム中で見られる荒廃した台地のいくつかは、
エヴァのために出来てしまった場所なのです。
神々の度重なる神々の失敗を見て、
巨人たちの心の中に疑問が生まれました。
「あのような神々を崇拝する価値があるのか。」
巨人たちが次第に力を持つようになると、
この考えはどんどん大きくなります。
巨人たちは自ら作った馬車に乗り、
神々の宮殿に自由に出入りできるようになりました。
また魔法を使って島を持ち上げたり、
神々のように空中で生活できるようになりました。
巨人の遺跡ともいえるクルマの塔や巨人の洞窟で、
浮いている構造物があるのは、
この時にできた技術です。
そんな経緯で、
巨人たちは自分の力が神に匹敵すると考え始めてしまいました。
そして、生き物を組み合わせて、独自の生命体を作り始ます。
プレモやサセプタなどが、その名残のようです。
ちなみに巨人たちは、
このような奇跡を可能にする魔法を「科学」と呼びました。
自分たちの絶大な力に酔いしれた巨人たちは傲慢になり、
とうとう神々を退けてその地位を奪うために、
軍隊を組織し始めたのです。
これを見たアインハザードは激しく怒ります。
生命を作り出せるのは自分だけが持つ権利だったため、
その怒りはとんでもないものだったようです。
巨人を大陸や世界もろとも絶滅させることを宣言。
さすがにそれはやりすぎだろうと、
グランカインがアインハザードをなだめましたが、
グランカインでさえ彼女を取り巻く怒りの炎のために近づけず……。
「お前は創造の母であり、破壊は私の役目だ。私がお前の領域に踏み込んだときにどんな目に逢ったか、お前もよく知っているだろう。私が巨人たちの傲慢な行ないに罰を与えるから、お前は落ち着くのだ。それでも世界を滅ぼそうとするのなら、私はあらゆる手を使ってお前を止めなければならない。」
なかなか耳を貸さなかったアインハザードですが、
最後には折れて説得に応じることになります。
アインハザードは巨人たちを罰するために、
グランカインの武器である星の槌を借りることにしました。
アインハザードはその槌を使い、
巨人たちの都市に向かって火の玉を雨あられと降らせます。
この惨状を見て、巨人たちははじめて、
自分たちがとんでもない過ちを犯したことに気がつきました。
巨人の強大な力をもってしても、
槌の方向をほんの少しずらすのが精一杯。
槌は巨人たちの都市をかすめて地に落ちましたが、
それでも繁栄した都市を破壊するには十分すぎます。
大陸には大きな穴があき、ほとんどの巨人は死を迎えました。
それらしき地形を、アデン南東で見ることができますね。
なんとか生き残った巨人たちは、
アインハザードの怒りを避けるために東方へと逃避行。
アインハザードは巨人たちを追い続け、
稲妻で次々に焼き殺していきます。
恐れに震えながら、巨人たちはグランカインに嘆願した。
「グランカインよ。私たちは自分たちの過ちに気付きました。アインハザードを止められるのはあなただけです。アインハザードは怒りで我を忘れています。私たちはあなたがたと同じ場所で生まれました。そして大陸で最も賢く、強い生き物だったのです。どうか私たちを滅ぼさないでください。」
グランカインはムチャクチャをするものの、
情に弱いところもあるようで、
巨人たちは既にその罪を十分に償ったと考え、
南洋の最も深いところから水を持ち上げて、
巨人たちに追い付こうとするアインハザードをさえぎりました。
邪魔をされたアインハザード、また激しく怒ります。
「何をするのだ。どうして私の邪魔をする。愛しい娘、エヴァよ。行く手をはばむ水を今すぐ退かせなさい。さもなければ、お前も姉と同じ運命をたどることになるぞ。」
エヴァはアインハザードを恐れ、すぐに水を海へと戻してしまいます。
アインハザードは再び巨人たちを追いかけ、
ひとり、またひとりと殺していきます。
巨人たちは再びグランカインに泣きつきました。
「グランカインよ。偉大なる我らが神よ。アインハザードはまだ私たちを追ってきます。私たちを ひとり残らず消し去るつもりです。どうか私たちを助けてください。」
グランカインは巨人たちが立っている大地を持ち上げました。
巨人たちを血眼になって追いかけていたアインハザードは、
突然、巨大な岩の壁に行く手をさえぎられることに。
アインハザード、さらに激しく怒ります。
「私の娘たちは皆、敵なのか。愛しい娘、マーブルよ。一体誰が私の行く手をはばんでいるのだ。今すぐこの大地をもとに戻すのだ。さもなければ、お前も姉と同じ運命をたどることになるぞ。」
この言葉に怯え、マーブルは大地をもとに戻そうとした。
しかし、グランカインは即座にマーブルを制止し、告げます。
「アインハザードよ。もうそろそろやめたらどうだ。地上のあらゆるものがお前の怒りを恐れ、恐怖に震えている。賢明だが愚かなことをしでかした巨人たちも、自分たちの過ちを悔い改め、心の底から改心している。巨人たちを見よ。すべての生き物の上に立つものとして自信に満ちあふれていた彼らが、今ではあんな小さな高台に隠れて恐れおののき、お前と目も合わせられずにいるではないか。もう二度と大陸には降りて来られないだろう。また二度と私たち神にたてつくこともないだろう。あの高台は巨人たちの永遠の牢獄となり、彼らは永遠にそこに閉じ込められることになるのだ。だから、どうかもうその怒りを鎮めてくれないか。お前の復讐はもう終わったのだ。」
アインハザードは怒りを鎮めたわけではなかったが、
さすがにグランカインの話に耳を傾けました。
また、グランカインがいうように、
巨人たちに永遠にその行為を悔やませるには、
彼らを皆殺しにするよりも、
小さな、不毛の高台に捕えておくほうがよいと考えました。
そうしてついに、アインハザードは巨人を追うのをやめました。
しかし、地上の生き物に失望したアインハザードは、
その後、めったに地上でのできごとに関与しなくなります。
そしてグランカインもまた、
むやみに地上に姿を現さないことに決めました。
神々の時代は、こうして終焉を迎えます。
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| 2005-03-02 17:36
| リネージュ2